妻のこと

舌癌に関する話題はもう終わりにしようと思っていたが、やはりこれだけは書いておこうと。

舌癌の告知を受けてから「まー大丈夫でしょ。死にゃーしないやつだよこれは。」という自分を尻目に、食べ物なり、サプリなり、保険なり、これから受けることになる治療なり、手術の内容なり、妻はいろいろと調べたうえで手を尽くしてくれた。妻の知人が早朝にサプリを投函していってくれたこともあった。入院中は仕事が休みの日はもちろん、仕事がある日も職場からドア・ツー・ドアで2時間弱ほどかかるであろう道のりを経て病院に来てくれていた。たまには着替えを持って帰ってくれたりもしたが、大半は何をするでも無く、単に顔を見て帰って行った。普段、仕事から帰ってくると疲れ果てて寝てしまう妻が、帰宅後には一切の家事をひとりでこなさねばならないにも関わらず、決して近くは無い病院に顔を出してから帰るというのはなかなかなことだと思う。
妻は自分よりも10歳ほど若い。癌の告知を受けた際に舌癌は転移の可能性が比較的高いものであると聞いていたので、これを機に、妻には自由な人生を歩んでいってもらった方がいいかもしれないと思った。幸か不幸かまだ子供もいないので、今決断をすることで妻にはまだやり直せる時間があるだろうと。しかし妻はそれを一蹴した。ああ、妻は「妻」なんだなと思った。伴侶なんだなと。立場が逆だったとしたら自分も同じ選択をするだろうけれど、それでもやはり、そこには感じるものがあった。

再婚をして良かったと思う。妻と出会えて良かったと思う。自分はぼんやりしているので、もしかするとこのことを忘れてしまうかもしれない。そんなことにならないように、ここに記すことにした。言うのは二度目だけれど、妻と出会えて良かった。ありがとう。
まずは妻の誕生日を祝わないと。なにせ僕の手術日と重なってしまって、まだ何もできていないから。